とにかくジョージは書いているんですから
卒業式後の謝恩会、私が一年前、卒業生に贈った言葉をお世話になった言葉として返されました。
それはこんなものでした。
ジョージ・エードは20世紀前半のアメリカのユーモア作家だ。
彼は実に多くの作品を残した。私はエードの母親に対するインタビュー記事を読んだことがある。
聞き手はエードの作品を愛する人ではないらしく、スタイルに統一性がないとか、構成がしっかりしていないとか、人物の書き込みが浅いといった、作品に対してよく言われていた評価を無遠慮に彼女にぶつけていた。
とうとうエードの母はこらえ切れずにこう言った。
「ええ、ジョージより上手く書ける人がいっぱいいるのはわかってますよ。
でも、とにかくジョージは書いているんですから」
『とにかくジョージは書いているんですから』
「アイデアのヒント」ジャック・フォスター著より。
端的にして見事な母親の愛情あふれる表現です。
インタビュアーは閉口してしまったに違いない。
私が卒業制作を眼前にする四年生に何が言いたかったのかと言えば、とにかくやりなさいということです。
だらだらといつまでも考えてないでとにかく手を動かしなさい。
あなた達より才能あふれ、技術に長ける人はたくさんいる。
ああすればいい、こうすればいい。意見はたくさんある。
でも、答えは誰にも見えていない。やり切らないと答えは見えてこないものだらけだ。
そして、「とにかくやった」という尊厳には誰もかなわない。
手を動かす事で脳は活性化されるのです。
たくさんやるだけたくさんのことがやれる。
少ししかやらないと少ししかできない。
努力は努力を生む。
こんな言葉を再度、新4年生と、昨日、北海道から相談に来た人に贈りたい。