湯たんぽ その2
(正確には磁器です。磁器は石の粉。陶器は粘土から出来ているものを言います。)
よくあるのはこれです。
陶器の湯たんぽ? 聞き慣れないかもしれません。
ですが、室町時代に中国から日本に入って来た最初の「湯たんぽ」は陶器の湯たんぽでした。
大正時代から金属製が台頭しはじめ、戦時期には金属不足から再び陶器製が主流になりましたが、
戦後はまた金属が主流になり、最近では樹脂も多くなっております。
最近は、「湯たんぽ」という道具を知らない若者も少なくないことが授業でわかりました。
説明しますと、湯たんぽとは、中にお湯を入れて、寒い冬の布団の中を暖める道具です。
昨年は震災の影響で陶器の湯たんぽが飛ぶように売れたようです。
つまり、電気を使わないのですし、電気と比べ人肌に対して優しいので、エコなイメージがあります。
布団の中で人肌に直接あたる湯たんぽという道具ですが、できるだけその「あたり」を優しくしたい。
そういう思いでデザインを考えました。
金属製のものは湯温低下の内部減圧に耐えるためと、表面積を増やすために、
デコボコした形状になっています。形にはちゃんと理由があるのです。
しかし、陶器なら強度は十分ですので、そんな凹凸をつける必要はありません。
しかし、多くの陶器製湯たんぽも金属と同じ形をしています。これは不思議です。
そして、なぜか楕円ばかりの湯たんぽ。
正円があっても良いじゃないか。むしろ正円の方が心地よいのではないか?
そして、必ず飛び出ている蓋の出っ張りが邪魔なのでなんとかしてなくしたい。
布団の中でそんなに全体の高さは要らない。
そういう事を考えまして、このようなデザインに至ったわけです。
蓋も当初は陶器で考えておりましたが、陶器と陶器では、開ける際に黒板をひっかくような音がしますので、
不快に感じる人も多くいるかもしれないと思い、金属製の蓋で作ることになったのです。
そして、カバーには静電気を起こしにくいジャンバー等の裏地に使う、機能素材を使う予定です。
形や素材の理由は、大体、「人を想う」というところからきております。
追記
こちらの湯たんぽは、その後製品化され、こちらで発売中です。