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卒業制作・修士研究2011

卒業制作

地方鉄道を元気にするデザイン/梶岡勇輝 Yuki Kajioka

日本全国にある地方鉄道は、さまざまな問題で経営難に陥っており、改善が求められています。
今回の研究では、滋賀県湖東部の地方鉄道である近江鉄道と協力して、グッズ・広告など様々なデザインを制作・販売を行い、デザインの力で地方鉄道を元気にする試みを実践しました。

「手ぬぐい」
「鉄道ファンも、そうでない人も」を目指した鉄道グッズの1つ、近江鉄道手ぬぐい。飛び出し坊やも隠れています。近江鉄道主要駅で100枚限定¥1000で販売中。

「初詣きっぷ」「車内広告」
お正月に発売される限定切符「近江鉄道・近江マリン・八幡山ロープウェー」の3種類をデザインしました。ライオンをキャラクター化しています。切符を宣伝する車内広告も担当しました。

「湯のみ」
信楽にて製作した湯のみ。底に近江鉄道の顔が隠れています。非売品。

「ポスター」
近江鉄道に散らばる数多くの伝説・逸話を、写真付きで解説する「近江鉄道のひみつ」ポスター。商品準備中。

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世界緑商会/近藤 千絵 Chie Kondou
 
「緑」は色名というだけでなく、自然を意味する言葉です。
人は遥か昔から緑とともに生活し、緑に心動かされてきました。
やがて生活の中に取り入れられるようになった緑は、現代では安全のシンボルとして用いられたり、爽やかさや癒しのイメージを与えたりするものとして根付いています。
人にとって身近な存在である緑をテーマとした「世界緑商会」から、「生きた緑」と「みたての緑」を織り交ぜたインテリア・ファッション・ステーショナリーの愉快な9つの商品が登場しました。
きりかぶから新しい芽が生えているのをイメージさせる鉢、苔玉が屋根のような小さな家、どこかの空間を切り取り閉じ込めてしまったような指輪、馬の親子が乗った草原を思わせる帽子、 芝生が生えてしまった原稿用紙など、それぞれにそれぞれの世界があり見る人を楽しませます。
日々の中で緑を愛で生命力を感じることで、少し和やかな気持ちになったり新たな発見を見出したりすることができます。

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ピアノ椅子/肥川 修士 Shuji Hikawa

ピアノ椅子と聞いてどんな椅子を思い浮かべますか。
世の中にたくさん椅子はありますが、ピアノを演奏する時に使う高さの調節ができる椅子は限られており、その機能ゆえに画一的なデザインにおさまっています。そこに可能性を感じました。ピアノを演奏する人は一日に何時間も練習し、ピアノと共に人生を過ごします。その人生に自分の1脚と呼べるピアノ椅子と出会えれば、より素敵な時間をおくれるのではないでしょうか。
   
Rev stool
座面が回転することで上下するピアノスツールです。アンティークの椅子に多いこの構造を取り入れつつ装飾的な部分は新たに解釈し、現代のモダンなピアノにも合うシルエットにしました。ネジが切ってある支柱によって3 本の脚を三次元的に見せることで、曲線の美しさが生まれます。
W340×H430‐540 ウォールナット/ ゴート
   
Tom chair
いわゆる「ピアノ椅子」のトムソンと呼ばれる構造を用いた1 脚です。画一的なピアノ椅子の中で、いままでにはなかったラインを描きました。シンプルではありますが、ピアノを弾くという行為の優雅さを引き立てます。
W360×D372×H885×S H430‐540 ナラ/ オイルシープ

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cylinder/南 和宏 Kazuhiro Minami

cylinder(円柱・円筒)をテーマにしたプロダクトの提案です。
cylindrは単純な形でありながら、強い形、安全な形、持ち易い形、作り易い形、素材感を強く映し出す形など、様々な要素を兼ね備えた形です。その形は、生き物の構造や公共物に多く見受けることができる、機能的な形です。そんなcylinderという形を用いて8個のプロダクトを製作しました。

「flower vase 01」
 花瓶の蓋を反転させることで2種類の表情を持つ花瓶として使用できる。ユーザーが花の高さや大きさ、数などにより花瓶との相性を調整することができる。

「paperweights」
 鋳造の鋳肌を活かしたペーパーウェイト。100g、150g、200g、250g、300gの5点セット。

「flashlight」
 懐中電灯の発光体を覆うレンズを拡大・延長することでアルミの本体部分を覆い尽くしたデザイン。光が懐中電灯全体に行き渡る。

「clipholder」
 表裏に器が付いたクリップホルダー。磁石のS極とN極の両側を使用することで、2種類のものをホールドし、机上で反転させながら使用できる。

「seal case」
 高価で厚みのある銅に実印を入れることで、実印を大切に保管できる実印ケース。裏面には朱肉が入っている。

「shoehorn」
 一本のステンレスの円筒をカットし、ヘラの部分を広げることでできた靴べら。滑らかな曲線が特徴で、立てて置くこともできる。

「desk light」
 水平と垂直の線が描く幾何学が特徴のデスくライト。LEDや配線、スイッチ、ジョイントを全て円筒の中にまとめた無駄のないデザイン。発光部分が360°回転し、机上を柔軟に照らすことができる。

「flower vase 02」
 生ける花を主役とし、花瓶を脇役と捉えた花瓶。存在感の薄いデザインにすることで、花を際立たせる。

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金魚のいる部屋/村上 愛佳 Aika Murakami

金魚は人間につくられた魚なのです。
2000年ほど前中国で金色に輝くフナが見つかったのが始まりで、その後観賞用にフナを飼育し、交配を重ねて現在までに様々な種類の金魚が作り出されました。鮮やかな色をした金魚達は一見もてはやされ華やかに見えますが、飼育が容易で観賞魚として人の目を喜ばせるためだけに改良され作られたその生き物は艶やかさや、美しさの中にどこか寂しげな儚い雰囲気が感じられます。
そんな金魚は川に放したら自由交配をして数代でフナに戻ってしまうそうです。人間の手の中でしかあの美しい姿を保つことはできないのです。つまり人間が金魚を愛さなくなってしまったら、自然と金魚は消滅してしまう運命にあるのです。
人間の美しい魚を手にしたいという欲望から、自然に逆らって自然を捻じ曲げて金魚は生まれました。そんなところも他の生き物にない魅力が金魚にある理由なのです。
私はプロダクトの制作を通してもう一度金魚の存在について考え直し、その魅力を伝えたいと思います。

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季節の抽斗/山崎 沙織 Saori Yamasaki

季節と聞いてあなたは何を思い浮かべるでしょうか。
私たちは季節という言葉に様々なものを思い浮かべます。
雪や紅葉などの自然現象であったり、ひな祭りや七五三などの文化であったり。
私たち日本人の感性はそういった表情豊かな自然を身近に感じ、月日の経過を感じ、日々を過ごすことに感謝する文化によって育まれてきました。
しかし自分自身の生活を思い返すと、それらの日本らしさを感じるものや心とはかけ離れた日々を送っているのではないでしょうか。
諸外国からも評価される日本の文化を私たち自身が見つめ直すべきではないでしょうか。
この小抽斗には十二個の抽き出しがあり一年、十二ヶ月の小道具がひとつずつ納めてあります。
季節の小道具を使って旬な毎日を過ごしてください。

季節の抽斗。

それは日本の魅力を引き出し、日常を彩る道具です。

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建具と暮らす家/辻 彩乃 Ayano Tsuji

家を構成するものの中で唯一動くことができるのは建具です。
季節の変化、時間の経過、人の生活の多様化に対応できるのは建具なのではないだろうかと考え、設計をしました。
伝統的な住宅は建具はもちろん、屋根の瓦、床の畳は一枚一枚でできており、壊れれば修理をしたり、入れ替えたりして長く大切に使われていました。
しかし近年、住宅の商品化が進み、日本の伝統的な住宅が壊されていきます。
建具は住空間において重要な役割を持つのに、今建てられている住宅の建具は同じようなものばかりです。
そして使えなくなれば買い替えるということが当たり前のように行われています。
ここは、取り壊される古民家の建具を集積し販売する建具屋さんを経営しながらも、イベントスペースやカフェも含んだ建具のサイクルを生む店舗併用住宅の提案です。

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修士研究

物体の断片による建築の構築方法
-道具を対象として-

/新森雄大 Yudai Niimori

私たちが空間を想像するとき、それは自らの経験のどこかと繋がっています。哲学者・政治思想家のジョン・ロックは、近代認識論の基礎となった著書「人間悟性論」において、「人間の知識は感覚経験から成り立つ」とし、人間は自らの経験に基づき思想し、思考し、創造することができるとしています。私は私以上の何者でもなく、あなたはあなた以上の何者でもありません。創造性豊かなものを生み出すため、自らの知識を貯えるためにはたくさんの経験をするしかないのです。

そこで私は、建築的記憶を更新するためには、建築以外の物体も建築的に捉え直すことが必要ではないかと考えました。なぜなら私たちの記憶の中にある建築はあくまでも建築であり、そういった既存の建築と異なる建築を生み出したいのならば、建築以外のものを対象とすることの方が有効ではないかと思ったからです。今回はその対象として道具を選定しました。それら道具の捉え方や認識方法を変え、その物を組織する諸要素(属性)を分解し、選択・再構築することで、既存と異なる建築空間をそれとは別の物体から生成する方法を示しました。

また方法を示すだけではなく、それを用いて滋賀県高島市針江地区に3つの建築を計画しました。私は、建築が人々の新しい体験に寄り添うことが、建築の存在する意義の一つではないかと思っています。水の豊かなこの地域には、昔からカバタという湧き水を生活用水として利用する文化が深く根付いています。針江を訪れた人は、カバタの文化に触れることで、日常当たり前だと感じていることがそうではなくなります。そういった体験をそっと後押しできるような建築として「橋の温泉」「工場跡の宿」「地下の川端」の3つを道具から抽出した要素を基に設計しました。

この計画は「道具」という生活に使う物体を建築的視点で観察し、その経験を実際の建築的経験として応用するまでのプロセスを示したものであり、より多様な建築を生成するための設計手法の探求です。この計画により、できるだけ多くの人々の価値観に小さな異議を投げかけることができたら幸いです。

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by planettv | 2012-02-06 21:32 | design